下肢静脈瘤の治療法
肢静脈瘤の治療法には現在様々な方法があります。外科的治療ではない日常生活上の注意や弾性ストッキングなどの圧迫療法は、「静脈瘤」そのものの改善を期待できるものではないものの、症状の増悪や合併症の予防に大切です。
1) 日常の生活での注意
もっとも大事なことは下肢がうっ血を起こさないようにする生活や、うっ血させてしまった状態を速やかに解除させる生活です。

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2) 圧迫療法(保存的治療)
医療用に作られた弾性ストッキングは下肢静脈瘤や静脈血栓症になどの静脈系還流障害の病気には大事な医療品です。脚関節より中枢になるほど、段階的に圧が低くなるように作成されています。これは、静脈還流を促進させるためです。患者の病態により圧のかけ方が異なり、医師の指示で適切なタイプの選択が必要です。
弾性ストッキングは外側から圧迫力をかけ血液循環を改善しようとしてあるため、普段はいている靴下のように簡単に履けるようなものではありません。正しい履き方で履くことにより、段階的な圧迫が効率よく得られます。
現在、大部分の弾性ストッキングは非弾性糸であるナイロン(ポリアミド)と弾性糸であるポリウレタンがおおよそ7:3の比率で使われています。
弾性ストッキングはその圧迫圧が重要で、その強さによってそれぞれの疾患における使い分けが必要です。
圧迫圧 |
使用病態 |
| 20mmHg未満 | むくみ 静脈瘤の予防 手術時などの静脈血栓予防 ストリッピング手術後 |
| 20~30mmHg | 軽度静脈瘤 高齢者静脈瘤 |
| 30~40mmHg | 下肢静脈瘤 静脈血栓後遺症 硬化療法後 軽度リンパ浮腫 |
| 40~50mmHg | 高度浮腫や皮膚栄養障害のある下肢静脈瘤、静脈血栓後遺症、リンパ浮腫 |
| 50mmHg以上 | 高度リンパ浮腫 |
3) 硬化療法
硬める薬剤を静脈瘤(コブ)の中に注入し、静脈の内側の壁と壁をくっつけてしまったり、血栓(血のかたまり)をつくり詰めてしまう方法です。
しかしすべての下肢静脈瘤をこの方法のみで治療することはできません。
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ⅰ)洗浄性硬化剤(detergent solutions)
洗浄性硬化剤は血管内の内皮細胞と結合することにより血小板、フィブリンを付着させ静脈内の血栓性閉塞をもたらす
| ア) ポリドカノール(ポリドカスクレロール®:PS) 局所麻酔薬として開発されたがその静脈硬化作用が着目され下肢静脈瘤の治療や痔核の治療に使用されてきた。正常組織の傷害には可逆的に治るため比較的安全に使用されるが針先から遠くなると作用は弱まり深部静脈での効力は弱い。 |
ⅱ)浸透性硬化剤(osmotic solutions)
高浸透圧の液を静脈内に注射することにより内皮細胞の脱水を起こし内皮が破壊され、その結果血栓形成されたフィブリンが付着する。洗浄性硬化剤に比べ
て静脈壁を傷害するまでの時間を要する
| ア) 高張食塩水 アレルギー反応を起こさないことが長所であり、現在商品化されている濃度が高いものでも血栓性静脈炎や色素沈着の合併はほとんどない。一方、薬剤注入時における疼痛が強く局所麻酔下での使用を余儀なくされる。 |
イ) 高張ブドウ糖/食塩水(Sclerodex®) デキストロース(25%)、食塩(10%)、プロピレングリコール(10%)、エトキシフェニルアルコール(0.8%)の混合液 作用も効能も高張食塩水とほぼ同じであるが高張食塩水より注入時の疼痛が少なく血栓性静脈炎や色素沈着の合併はほとんどない。しかし硬化作用が弱いためその適応が限られる。 |
4) 高位結紮法
弁不全をおこしている静脈と大元の静脈の合流部を縛ったうえで、切り離してしまう治療法です。
5) 静脈瘤切除術(Stab Avulsion法)
硬化療法に比べ静脈瘤の再発は少ないが水疱や瘢痕形成、皮下血腫などの合併症が多い傾向にあります。
6) ストリッピング手術(伏在静脈抜去術)
下肢静脈瘤の根治的な治療法として古くから行われている手術方法です。
弁不全(壊れている弁)を静脈ごと引き抜いてしまいます。
特にその後の歩行や痛みは影響しません。再発率が低く、確実な治療法ですが
まわりにある知覚神経にダメージを与えることがありますので、注意が必要です。
ⅰ)大伏在静脈瘤ストリッピング
| ア) そけい部における大伏在静脈の処理 イ) 下腿穿通枝の処理 ウ) 下腿部の大伏在静脈にストリッパー挿入 エ) 大腿部の大伏在静脈にストリッパー挿入 オ) 下腿部の大伏在静脈の抜去 カ) 大腿部の大伏在静脈の抜去 キ) 皮膚縫合 |
ⅱ)小伏在静脈ストリッピング
ⅲ)選択的ストリッピング
ドップラー血流計により伏在静脈の逆流の範囲が同定できるようになり、術後神経損傷の軽減(大伏在静脈抜去後→伏在神経損傷、小伏在静脈抜去後→腓腹神経損 傷)や健常な伏在静脈の温存を図るため逆流のある伏在静脈のみを抜去する、選択的ストリッピングが開発されました。
7) 結紮併用硬化療法
逆流の治療(結紮術、ストリッピング、高周波、レーザーなどにより静脈還流障
害を改善させ再発を防ぐ)と見た目の静脈瘤消失(静脈瘤切除、硬化療法などに
により美容的効果を図る方法を合併したもの 。
8) レーザーによる焼灼術
血管内レーザー治療(EVLT:endovenous laser treatment)
逆流のある静脈内にレーザーのファイバーを入れ、血管の壁にレーザーをあて静脈を
閉塞させる方法。硬化療法と原理・効果は似ています。
手技が比較的簡便で侵襲度が低いにかかわらず高い効果が得られるもの、未だ長期の効果判定が出ておらず、現在は保険の適用がないので自費診療となってしまい、30~40万円と高額な医療費がかかってしまいます。
